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年金QA 8.カラ期間-その2

 カラ期間には様々なパターンがありますが、その中でも、もっとも代表的なカラ期間は、専業主婦のカラ期間でしょう。今回はこの専業主婦のカラ期間についてご説明します。

 まず、「専業主婦の」、ということについてご説明します。


国民年金の制度ができた昭和36年当時のサラリーマン家庭は、夫が働き、妻は家庭を守るということが一般的でした。妻は夫の健康保険の扶養家族(「被扶養配偶者」と呼びます)となり、自身は働いていないので収入もほとんど無い状態でした。

夫は厚生年金などの被用者年金制度に加入していましたが、妻は、国民年金制度に加入することになっていました(今でも同じです)。但し、専業主婦で収入がない妻は、国民年金に加入してもしなくても良いという措置が取られていました。この措置は昭和61年3月まで続きました。もちろん加入しても良かったので、「任意加入」して、毎月保険料を納める事もできました。

昭和61年4月以降は、こうした専業主婦の方々も、国民年金の第3号被保険者として、国民年金の保険料を納めなくても、納めたものとして、年金のもらえる保険料納付期間として、年金をもらえる最小限の保険料納付期間である25年に算入できることになりました。

さて、こうして家を支え、子育てに邁進してきた専業主婦の方も65歳になり、老齢基礎年金をもらえる年齢となりました。そこで、保険料納付期間を計算すると、昭和61年4月以降の第3号被保険者期間しかなく、25年(平成29年8月1日以降は10年に短縮されます)に満たないので年金がもらえないということになりました。昭和61年3月以前の専業主婦の期間で任意加入していなければ、保険料を納めていない訳ですから、年金がもらえる最低限の25年(300ヵ月)(平成29年8月1日以降は10年、120ヵ月に短縮)の保険料納付期間を満たすことができない人がたくさん出てしまいました。

そこで出てくるのがカラ期間です。昭和61年3月以前の専業主婦の期間で任意加入していなかった期間は、年金をもらうための25年(10年)に加えても良いことになりました。但し、年金の金額を計算するときは、実際に国民年金や厚生年金などの保険料を払った期間と3号被保険者の期間だけです。

例を挙げてみましょう。
昭和20年4月生まれの女性。独身時代も会社勤めをしていません。
昭和40年4月に結婚し夫の扶養家族となりました。
その後も会社勤めはせず、国民年金にも任意加入していません。
昭和61年4月以降も会社勤めはせず、60歳になるまで第3号被保険者でした。

この方のもらえる年金の金額を計算してみましょう。

まず25年間(平成29年8月1日以降は10年)の保険料納付期間があるかないかをみましょう。
第3号被保険者期間は、昭和61年4月から平成17年3月までの20年間ですから、25年に5年足りません。(平成29年8月1日以降は10年以上の納付期間があることで年金がもらえます)

そこでカラ期間をみます。この方のカラ期間は21年あり、これを足すと、十分25年を超えますから、年金をもらえることになります。(10年年金でもカラ期間を合計して10年以上あれば年金をもらえます)

では老齢基礎年金の金額はいくらになるでしょうか?
保険料納付期間は20年(240ヵ月)です。カラ期間は年金の金額計算のときには足してはいけないということを思い出して下さい。そうすると以下の計算式のようになります。
788,900×240÷480=394,000円

国民年金は20歳から60歳までの40年間にわたって1回も休まずに保険料を払うと、満額の老齢基礎年金をもらえます。平成23年度の実績は788,900円です。

 上の例でいうと、保険料納付期間は20年ですから、もらえる老齢基礎年金は、約半分になります。

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