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遺族年金事例紹介 - 遺族年金相談

私が実際に申請したケースや、厚生労働省のホームページに載っている事例をご紹介します。なお、個人情報保護のため、本人を特定できるような事項は伏せてありますのでご了承下さい。

戸籍上の妻であるが、夫の死亡時、別居していた。

夫は、酒を飲むと暴れ、家族に暴力を振るい、次第に凶暴の度合いが増してきたので、身の危険を感じ、アパートを借り、そこに引っ越した。この時住民票も異動した。
子供は、夫の健康保険の扶養家族に入れていた。自分は、パート収入が年収要件(130万円)を超えていたので国民健康保険、国民年金に加入していた。
ただし、自分のパート収入だけでは暮らせなかったので、夫が前職を退職したときの退職金の預金通帳と印鑑を私が預かっていたので、そこから一定額を引き出し、生活費の一部に充てていた。
別居してからも子供は、夫と連絡を取り合っていたので、子供を通じて夫の様子は知っていた。また、子供の学校の卒業式には夫も出席し、その時は自分も言葉を交わした。
別居してから、5年後に、夫が、突然亡くなった。葬儀は自分が喪主となって行った。

このケースでは、遺族年金の申請者が戸籍上の妻であること、夫から経済的支援を受けていたこと、子供を健康保険の被扶養者にしていて事、音信は十分ではなかったですが、一応、継続して、あったこと等を、遺族年金の申請時に、申出書という書類で事情説明をしました。結果として、不支給とならずに、遺族厚生年金と遺族基礎年金が出ました。

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夫の借金が原因で離婚したが、行き来はしていた。

夫は、事業をしていたが、経営に行き詰まり、多額の借金を抱えたまま会社は倒産した。取り立ては厳しく、自分や子供は恐怖を覚える毎日だった。ある人から、家族にも危害が及ぶ危険があるかも知れないから、離婚した方が良いとアドバイスされ、協議離婚した。

夫は、1人なら何とかなると言って、行方をくらませた。自分は離婚時の財産分与で受け取った家を売り払い、アパートを借りて、そこに子供と住んだ。生活費は自分のパート収入と家の売却金で賄っていた。

夫からは、1年前に連絡があり、病気で働けない状態だということだったので、自分は定期的に、夫の元へ通い看病したが、その甲斐無く死亡した。葬儀は子供が喪主となって行ったが、自分も妻の立場で参列した。

このケースでは、離婚がやむを得ない事情によるものであること、経済的支援は、財産分与によって行われたこと(これは、生計維持があったことの証拠としては少し弱いのですが、離婚がやむを得ない事情によることに関連づけて経済的支援だったと申し立てました。)、看病をしていたこと、葬儀に参列したことなどの事実があったことで、離婚後も、実態として夫婦関係が継続していた(いわゆる内縁関係が成立していたことになります)ということを申出書に書いて、年金の申請書と一緒に出しました。結果として、不支給とならずに、遺族厚生年金と中高齢寡婦加算が出ました。

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夫が家を出たまま15年経ち、死亡した。

夫は、会社に40年近く勤めた後、退職したが、サラ金から借金していた。夫は、退職金を全額引き出して、行方をくらませた。家には毎晩のように厳しい取り立てがあり、自分は必死になって働き、大部分は返すことができた。夫はその内戻ってくるだろうと思っていたので、離婚は考えていなかったし、行方不明の届出も出さなかった。
そうしているうちに年月が経ち、5年目くらいの時に、やっと夫の居所がわかったので連絡をしたところ、今は帰れないが必ず戻るから待っていて欲しいとのことだった。それ以来、再び連絡が取れなくなり、居場所もわからないままだった。
家を出てから15年経ったときに、夫と10年間一緒に暮らしていたという女性から、夫が死亡し、葬儀や納骨も済ませたという連絡があった。また、遺族厚生年金は、その女性が申請するとのことであった。自分も1年くらい経ってから、遺族厚生年金を申請したが不支給だった。

このケースは、もらえなかったケースです。私は、ご相談を受けたときに、既に不支給決定が出た日から60日以上(実際は5年)経過してしまっていたので、どうすることもできませんでした。また、夫と暮らしていたという例の女性が遺族厚生年金を申請したときに、本妻であるこの方に、社会保険庁から調査があったのですが(このケースのように利害関係者がいるときには、事情聴取があります)、先方の言うとおりで間違いないと答えてしまっていたらしいのです。

この方にとってみれば、こんなむごい仕打ちはない、だろうと思います。

では、60日以内に不服申立をしていたらどうなっていたでしょうか?

仮定の話をしても意味ありませんが、私の感じでは、本妻が遺族厚生年金をもらえるかどうかは、かなり厳しい状況だと思います。

ただし、救いもあります。本妻さんは夫と別れる気がなかったこと、連絡が取れなかったり、経済的支援がなかったのは、全面的に夫のせいで、むしろ、夫の借金を返し、夫を捜し続け、家を守るために働き続けてきたのですから、15年間の別居生活でも、夫婦関係が完全に失われて形骸化していて、その状態が固定化していたとは言えないと思うからです。これらについて証拠がそろえば、可能性はもう少し高くなると思います。

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会社経営者だった夫が亡くなったが、妻も役員で、年収850万円以上だった。

夫は、社長として会社を運営していたが、節税の目的もあり、妻である私は、ほとんど何もしていなかったが、毎年、1000万円近くの役員報酬を受け取っていた。夫が亡くなり、今の規模では事業を続けて行くことはできないので、私が社長を引き継ぐが、報酬も年間100万円しか取らないことにした。米国の大学に行っている息子があと2年で帰ってくるので、それまで何とか会社を継続し、息子に引き継がせたい。
年収100万円では暮らしてゆけないので、夫の掛けていた厚生年金から遺族厚生年金をもらうために、年金事務所に請求に行ったが、前年の年収が高いので、遺族年金はもらえないと言われた。

このケースは、電話相談だけでしたので、私が手続きをしていませんので、結果はわかりません。それでも、大事なポイントがいくつかありますので、ご説明します。

まず、年収のことですが、法律では、遺族年金をもらえる条件として、配偶者(ここでは夫)の死亡当時の妻の年収が850万円未満であることとなっています。課税所得金額でみる場合には、655万5千円です。これを、生計維持要件といいます。850万円未満なら夫との間に生計維持関係があったので遺族年金を支給しますという言い方になります。反対に850万円以上の年収があった妻には、生計維持関係になかったので遺族年金は支給しませんと言われてしまいます。
実務では、夫の死亡した年の前の年の課税証明書(所得証明)で確認します。前年の収入の証明が取れないときは前々年の証明書の金額で判定します。なぜ、前年(または前々年)の収入を見るかというと、夫が年の前半に死亡した場合などは、その年の年収は調整ができてしまうからというのがその理由だからです。ですから、妻が高額な収入を得られる場合には、遺族年金のことだけで考えれば、金額については注意しておくことが必要です。

次に、夫の死亡当時妻の年収が850万円を超えていても、おおむね5年以内に、年収が850万円未満に下がる事が確実であるという場合は、遺族年金が出ることがあります。
例えば、妻が会社勤めをしていて、会社の定年年齢が60歳と決まっていて、夫の死亡時の妻の年齢が55歳以上なら、5年以内に定年退職となることが確実なので(現在は、定年延長や継続雇用制度が導入されているので、少し状況は違います)、年収が850万円未満になると予測されるので、生計維持関係が認められるということになります。この場合には、会社の就業規則など、定年退職について決めている規定集を、遺族年金申請のときに資料として提出します。このご相談者の場合は、役員でいらっしゃったので、定年の規定もありませんでした。また、規模は小さくしたにせよ事業を継続する意思があって、社長を引き継いだことにより、年収が下がる事が確実であるとは言えないこと、などが不支給の理由となってしまうでしょう。

ではどうすればよかったのでしょうか?
遺族年金をもらうということだけのためにやるとすれば、夫の生前から、妻の年収は850万円未満にしておくことしかありません。夫婦で会社の経営者であるときなどは、顧問税理士の先生にもご相談ください。
実際に夫が亡くなった場合には、夫が亡くなれば、会社をたたまざるを得なくなることは夫の生前からわかっていたことで、実際に事業がもはややっていけなくなり年収も下がったという申し立てをすることもできますが、それでも、遺族年金が出る可能性はかなり低いといわざるを得ません。私も似たようなケースで再審査請求までやりましたが、結局不支給は覆りませんでした。実際に夫の死亡後年収は850万円以下に下がっていたのですが、夫の死亡当時にそれが確実であったとは言えないという判断でした。どうしても会社の規定集のように、年収が下がることが客観的にわかるものがないと、年収要件をクリアすることはきわめて困難と言わざるを得ません。

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