本文へスキップ

年金のことなら、信頼と実績のある社会保険労務士におまかせ下さい。

TEL. 03 -6868-0400

〒102-0082 東京都千代田区一番町10-8 一番町ウェストビル5F

家庭内暴力による別居と遺族年金の受給 - 遺族年金相談

家庭内暴力(DV)から逃れるために、やむを得ず別居していたのに、
夫が亡くなったので遺族年金を請求したら、生計同一要件を満たしていないから
遺族年金が出ないと言われてしまうことがあります。

  • DV防止法:「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」
    (通称 DV防止法、主務大臣の中に厚生労働大臣も入っています。)

‥遺族年金のことは別にして、今、DVの被害に遭われている方は、まず、身の安全を一番に考えて行動してください。DV防止法では、さまざまな方法で行政がDV被害者の安全を確保するように決めています。
例えば、このDV防止法によって「保護されるべき人」と認定されると、年金関係では、97*で始まる基礎年金番号に切り替えることで、加害配偶者への情報提供が停止されます。ただし、被害者本人からの申請が必要ですから市区町村役場の国民年金課や年金事務所で手続きしてください。(* 97:第三者(夫など家族を含む)に一切の情報開示をしないようにするための頭2桁)

‥まずは行政の窓口で、DV認定などについて相談してください。
相談窓口としては、警察、配偶者暴力相談支援センター、婦人相談センターなどです。(警察の援助を受けられるのは、身体に対する暴力に限られているようです。)

‥内閣府男女共同参画局では、DV相談ナビを開設していて、最寄りの相談窓口を案内する電話番号案内サービスを提供しています。電話番号は:0570-0-55210

DV相談ナビカード表DV相談ナビカード裏

  • DV防止法の暴力の定義

‥配偶者からの暴力には、殴ったり、蹴ったり、ものを投げつけたり、突き飛ばしたりするような身体に加える暴力だけではなく、精神に危害を与えるような暴力も含まれます。
例えば、大声で怒鳴る、ののしる、暴言を浴びせる、ペットを虐待する、交友関係を細かく監視する、行動を終始監視する、無視するなどはその典型例です。
そのほかにも、生活費を渡さないなどの経済的暴力、外出を妨害するなどの社会的暴力、異常な嫉妬や避妊に協力しない、性行為の強要などの性的暴力なども挙げられています。
配偶者には婚姻の届出がないが事実上の婚姻関係にある方(内縁関係)も含まれます。

  • 警察や役所に届出をしていましたか?

‥DV被害を受けているときに、あまりにひどい状況であれば、身を危険にさらしてしまうことになるので、万一のことを考えて、事前に警察や役所に相談に行っておくことも一考です。暴力に対する対応の仕方や、警察への連絡先などを教えてもらえば、いざ、避難するときに助けになります。
その後、別居状態のままで、不幸にして夫が亡くなってしまい、遺族年金を申請するような状況になったとき、生計維持の申立書に別居の理由や経済的支援・音信があったかどうかなどを書かなくてはなりません。DV被害者として認定されていたとか、相談に行っていたといったことが警察や役所に記録として残っていれば、この生計維持申立書に添付する証拠資料となります。
現在の年金制度の下では、DV被害者が、加害者である夫と別居していて、亡くなった夫の間に音信も経済的支援もなかったという場合には、遺族年金が不支給になるケースがよくあります。
どのような場合に出て、どのような場合に出ないのかはっきりした基準が明確にはなっておらず、ケースバイケースで判断されているようです。従って、万全な準備をしておくということはちょっと無理ですが、まずは、身の安全を確保するということを一番に考えて、警察や役所に一度相談してください。それが、将来、万一遺族年金を申請するようなときになったら役に立つかもしれないということも覚えておいてください。

  • 別居中の経済的支援

‥DV加害者に見つからないように避難生活を送っているのだから、連絡が取れるわけはないし、経済支援など到底受けられないはずですが、遺族年金を申請するにはこうしたことが必要と言われてしまいます。別居期間が長くなるほど、音信や経済的支援がなかったことが大きなマイナス要素になります。
夫と別居していた妻に遺族年金が支給されるためには、生計維持関係があったことを自分で証明しなければならないのです。そのためには、音信と経済的支援があったことが必須要件となっているからです。
ですから、DV被害から逃れるために別居していたとしても、例えば、お子様を介して、現金でもらっていたとか、退職金の一部のようなある程度まとまった大きなお金が妻の口座に振り込まれたとかといったことはあればそれを申し立ててみましょう。
できればそうした事実を証明できるような書類があるとなお良いです。振込なら入金の記録が残っている通帳、手渡しだったら、そのままの金額を入金して通帳に記録を残しておくといったことです。
なかでも一番大事なのは、夫が亡くなる直前にも音信や経済的支援があったことなのです。
別居開始当初は連絡があり、お金ももらっていたが、その後亡くなるまで途絶えてしまっていたといったような場合は、生計維持関係の認定のハードルが高くなります。

  • 別居を解消する意思がありましたか?

‥DV被害を受けてしまうと、それがトラウマになってしまって、なかなか別居を解消しようという意欲がわかないかも知れません。それでも、夫のことが心配で、夫が改心して、もう暴力は振るわないと約束してくれれば、また元の生活に戻っても良いと思っていたり、夫にも別居解消の条件を伝えていたといったことはありませんでしたか?あまり別居期間が長くなると、婚姻関係が形骸化していたなどといわれてしまうことがありますので、別居解消の意思と条件が明確にあったことが必要です。

  • 夫との音信は誰かを介して行っていたということはありませんでしたか?

‥警察や役所の相談窓口の方から、夫と連絡を取らないようにアドバイスを受けていたり、そうした時期は過ぎていたとしても、まだ夫と直接会ったり、話したりすると、精神的に不安定になってしまったりするので、コンタクトは避けているといったことはよくあります。そのような状態だったとしても、たとえばお子さんや親戚の方を通じて夫の生活状況を聞いていたり、こちらの状況を伝えたりといったことはしていませんでしたか?

  • DVのために別居しているときは国民年金保険料の免除申請ができます。

‥DVから逃れるために別居を余儀なくされているときは、国民年金保険料の免除申請をしてみてください。被害にあっている本人だけの年収で免除が可能かどうか、また、全額、半額、1/4,3/4免除のどれが受けられるかが判定されます。相談窓口は年金事務所ですが、初めて申請するときには、婦人相談所や配偶者暴力相談支援センターなどの公的機関が発行する「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」が必要になるので、事前に相談に行ってください。
毎月1万7千円近い国民年金の保険料を別居期間中に納付することは経済的に困難という場合もあるかと思いますが、未納状態にだけはしないようにしてください。

  • 私がDV防止法の実務に関して参考にしている本

Q&A DV(ドメスティック・バイオレンス)事件の実務 著者:打越さく良 監修:榊原富士子 日本加除出版(株)

山本社労士FP事務所

〒102-0082
東京都千代田区一番町10-8
一番町ウェストビル5F

TEL 03-6868-0400
携帯 090-4674-8513
FAX   03-6868-0810
email yamashin92@gmail.com

電話相談はここをタップ