未支給年金の支給範囲が広がります(H24年8月-改正年金法成立-2)
年金(老齢、障害、遺族)をもらっていた方が亡くなったときに、心配されることの一つに、いつまで年金は払われるのだろうかという事があります。
公的年金は、偶数月の15日に2ヵ月分払われるのですが、この2ヵ月分というのは支給月の前月と前々月分の年金です。例えば、4月15日に振り込まれた年金は2月と3月分の年金です。そして、年金は亡くなった月の分まで払われますから、4月中に亡くなった方の年金は4月分(6月15日振込)まではもらえるということです。
ここで問題となるのは、亡くなった方のその月の年金は誰のものかということです。年金は生きている限りもらえるものですから、4月分は確かに亡くなられた方がもらうべき年金です。
でも、国はそのようには考えずに、振り込まれる日(6月15日)には、本来の年金受給者はもうその方は生きていらっしゃらないので、もらうことができないから、その方と一緒に暮らしていた親族に未支給の年金として支給しますということにしています。
年金の支給が圧倒的に銀行振込という今の状況であっても、振込の日に、もらいに行けないということは、現実に起こりえます。例えば、上の例で4月に亡くなられた方が使っていた年金の振込口座が6月15日以前に凍結されてしまうと、年金が振り込まれても入金されずに、日銀に戻っていってしまいます。そうすると、ご自宅当てに年金機構から「年金が振り込めませんでしたが、亡くなられたのでしたら手続をして下さい」との問い合わせの葉書が来ます。この手続は年金の支給を止める事と、未支給年金を親族の方がもらう手続をするためです。
この未支給年金は誰がもらうのかという事については、法律でもらえる人とその順番が決まっていて、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順になっています。これに当てはまる人がいない場合は、誰にも未支給年金が払われないということになります。
この親族の範囲を広げるという法律改正がありました(平成24年8月)。
具体的には、兄弟姉妹の後に、甥か姪、子の配偶者、叔父か叔母、ひ孫か曾祖父母、親族の配偶者等となっています。この『等』には誰が含まれるのかはまだわかっていません。
重要なポイントはこれらの親族に当てはまっても、亡くなった方と一緒に住んでいなければ(生計同一関係といい、通常は、住民票上の住所が同じということで証明します)未支給年金をもらえる条件を満たさないということです。
住所が違うと、生計同一の申立書を書いて第三者の証明をもらい、その他にそれを証明するような証拠書類を揃えて、と大変な作業が求められます。しかも揃えたからといって未支給年金が支給されることが確実になるわけではありません。同居の要件は非常に厳しく求められるので、ご留意下さい。
また、未支給年金をもらえる同順位の親族(例えば2人以上の子が該当するような場合、子には年齢制限はありません)が複数いた場合は、その代表者1人に全額が払われます。国としては、ともかく全額払いましたから、その後どのように配分するかは子供どうして話し合って分けて下さいというスタンスです。
具体的な未支給年金の請求手続は、2枚つづりの用紙に必要事項を書いて署名押印して年金事務所に提出します。この用紙の2枚目は死亡届となっていて、この書類を提出すると年金の支給も止まります。
2013年4月21日 4:10 PM | カテゴリー:遺族年金の基礎知識