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あとから年収が下がってもだめなのですか?


A.夫の死亡した年の前年の収入(年収と言い換えても良いです)が850万円以上あっても、その後に収入が850万円未満に下がったら遺族年金を出してくれても良さそうなものですが、あとから下がったというだけでは、収入要件を満たさないから遺族年金が出ないという場合が多いです。収入要件=生計維持関係と考えてください。

なぜなのでしょうか?

これは収入要件(生計維持関係)の考え方が厳格に決まっているからなのです。もちろん例外はあります。

たとえば、夫が死亡して妻が遺族年金をもらうときに、妻の前年の収入を見て、850万円未満(所得金額で655.5万円未満、これ以降同じ)なら生計維持関係があると判断し、850万円以上なら生計維持関係がないと判断します。これは、妻に遺族年金が出るためには、「夫の死亡当時、妻との間に生計維持関係があること」という条件があって、これに当てはまるかどうかは、夫の死亡当時の妻の収入を見ることになっているからです。ですから、たとえば、夫が死亡した年の前の年の妻の年収が850万円以上あった時には、夫が死亡したその年やその後に年収が下がったとしても、死亡当時ではないので、生計維持関係がないから遺族年金は出ませんということになってしまいます。

でも、この厳格な措置しかないとすると、夫の死亡後に妻の収入がゼロやそれに近くなってしまったときには、遺族は生活ができなくなってしまうので、例外的に生計維持関係を認める場合があります。

それが、夫の死亡時からおおむね5年以内に妻の収入(つまり年収)が850万円未満に下がることが、夫の死亡時にあらかじめ確定的にわかっているときは、夫が死亡した前年の妻の収入が850万円以上あっても遺族年金を出しますという扱いです。

夫の死亡時にすでに妻の収入が下がることが確定的にわかっているとはどういうことを指すのかといえば、わかりやすい例でいえば、会社の就業規則によって、5年以内に定年退職することが決まっている場合が当てはまります。60歳定年の会社なら夫の死亡時に妻は55歳以上でなければならないという条件が付くことになりますが、このようなケースでは年金事務所もよくわかっているので、結構すんなり遺族年金の請求を受け付けてくれるようです。ただし、就業規則や労働契約書のコピーを提出する必要があります。

これ以外にも、様々なケースが考えられますが、最も難しいと思われるのが、夫が経営する会社を妻も手伝っていて、妻の収入が850万円以上あったときです。妻が手伝っていたといっても、実質的な経営は夫が全部取りしきっていたので、夫が亡くなってしまえば、会社はやっていけなくなることはあらかじめわかっていて、実際に夫が亡くなったら会社は倒産してしまったといったことがあった場合などです。

このようなケースでは遺族年金が出るか出ないかでその後の生活も大きく違ってきてしまいますから、残された家族に取っては死活問題であるわけですが、結構な割合で不支給となっています。裁判までいったケースでも,ケースバイケースで認められたり認められなかったりしていて、こうすれば良いといった方式が見つかりません。

私も、収入要件でご相談を受けて、申請手続きをするときは、まず、似たようなケースで認められたことがないか過去の裁判例や裁決を探します。逆に認められなかったケースでも何かヒントになるものがないか探します。その次に、夫死亡当時からあらかじめ収入が下がることが確定的にわかっていたことの資料集めをして生計維持の申立書を書くという段取りでやっています。資料がそろわないときは、結構苦労しますし、残念ながら不支給処分となることもあります。

こうしたことから、妻の収入については、遺族年金をもらうためのことだけを考えるとすれば、確実なのは、夫の生前から、妻の収入を850万円未満にしておくことくらいです。

繰り返しになりますが、生計維持関係(収入要件)はあくまでも夫が死亡した前年の妻の収入が850万円以上であったかどうかで判断しますので、あとから下がったからといっても生計維持関係は認められないことがあるということです。

なお、例として夫が亡くなり妻が遺族年金を請求するというケースで書きましたが、遺族基礎年金については、その逆(妻が亡くなり夫と18歳到達後の3月31日を過ぎていない子が残された場合)も当てはまります。

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