遺族年金の支給要件(H24年8月年金法改正-3)
年金法改正により、平成27年10月から、10年の保険料納付期間がある方にも、老齢年金が出るようになります。10年という期間は飛び飛びでも構いませんし、厚生年金の期間も含めることができます。ただし、過去にさかのぼって出るわけではなくあくまでも、平成27年10月以降に支給開始される分だけです。
ところで、遺族年金が支給される条件の一つに、亡くなった方の年金保険料の年数が25年(保険料免除期間も含む)以上あること、というのがあります。この25年というのは、現在、老齢年金をもらえるための条件ですので、言い換えれば、老齢年金をもらえるだけの保険料を納めていれば、遺族年金は出るということになります。
と言うことは、平成27年10月からは、最低でも10年間(120ヵ月)、保険料を納めていれば、遺族年金は出るのか?と思いますが、改正法では、これがそのようになっていないので注意が必要です。
遺族年金が出るための条件だけは、改正後も25年の保険料納付期間が必要です。
どうしてかというと、厚生労働省は次のように理由を言っています。
遺族年金については、死亡者が短期の加入の場合でも受給できる要件(死亡時までに納付期間等が2/3以上あること)に加えて、老齢年金の受給資格期間を満たしたものが死亡した場合に支給されるという長期の要件があるが、10年の納付で老齢年金の資格期間を満たしたからといって30年間滞納していても遺族年金が受給できることにしたのでは、両者のバランスが崩れるため、要件は25年のまま変更しません。
このような難しい言葉で説明されてもよく理解できないのですが、保険料の未納が多少あっても遺族年金が出るような救済措置が既にあるから、10年納めて、あとはもう払わないということのないようにしたいと考えてのことではないでしょうか?
救済措置というのは、
- 死亡の前1年間に保険料の未納がないこと
- 死亡までの国民年金の加入期間中に払った保険料の期間が全期間の3分の2以上あること、です。
国民年金で考えるとわかりやすいので、これで説明しますと、老齢基礎年金なら、10年納めて年金もらっても、40年全期間の保険料を納めた人の4分の1しかもらえませんから、負担と給付のバランスがとれています。
遺族基礎年金は、保険料の納付期間が10年でも40年でも、年金の金額は同じなので、10年納付で遺族基礎年金が出るようになると、それは上に書いた救済措置にもう一つ付け加えるようなものだから、そこまでしなくても良い、ということなのでしょう。
考えてみれば、10年納付よりも過去1年に未納がないことのほうが達成しやすいからです。
国の年金制度も保険の仕組みを使っている以上、保険料払ってこその年金給付です。保険料納付が困難なときは、免除申請などを活用して、未納期間を作らないようにしましょう。