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交通事故で夫が亡くなったら


もし、夫が交通事故の被害者になって亡くなってしまったら。。。

 つい先日も北海道で、信号無視をしたとみられる2台の車によって5人が死傷するという大変痛ましい事故が起きました。重体と報道されている次女の方が一日も早く危機を脱するように願うばかりです。

ところで、この事故で次女のご両親は亡くなられてしまいました。父親は新聞販売店にお勤めだったとのことですから、おそらくは厚生年金に加入していたと思います。

今、遺族年金のことをここで書くのは不謹慎と言われてしまうかもしれませんが、大事なことを皆様にもお伝えしたいので、以下に書いてみます。

次女の方が一命を取り留めたとして(そうなることを心から祈っていますが)、加害者に対して損害賠償を請求することになるのではないかと思います。運転者の不法行為が認められれば、父親や母親が生きていれば得られたはずの年収✕退職するまでの年数を元にした金額が請求金額(逸失利益)になります。本当に請求金額を出すときはもっと複雑な計算をしますが、基本的な考え方はこのようなものです。また慰謝料は別計算です。

このとき、信号無視してこの家族の車に衝突した加害者側(もしくはその保険会社)は、次女は遺族年金をもらえるはずだから、その分を損害賠償から引いた金額を払うことで良いはずと言ってくるかもしれません。

確かに、次女の方は、今12歳とのことですから18歳の誕生日を過ぎた直後の3月31日まで、または、もしこの事故で体や精神に2級程度の障害が残ってしまったら20歳になるまで、遺族年金をもらえます。(もちろん父親か母親の年金保険料の納付要件を充たす必要があります。)

もし遺族基礎年金しか出ない場合だとしても、6年分になれば470万円近い金額になりますから、損害賠償を負担する加害者側(または保険会社)としては、自分が払わなければならない損害賠償と被害者が将来もらえるはずの遺族年金の総額は相殺しても良いのではないかと考えるわけですね。

この種の問題については過去に何件も裁判で争われていて、老後の年金をもらっていた夫が交通事故に巻き込まれてなくなり、妻が損害賠償請求をしたケースで、夫が生きていればもらえたはずの老齢年金の金額のうち、どこまでが損害賠償と相殺できるかが争われたのですがこの裁判は、平成5年3月24日に最高裁大法廷で判決が出されました。

結論は、損害賠償と遺族年金は相殺しても良いが、すでに支払われた年金の金額だけしか引けないということです。まだ払われていない将来分の遺族年金まで損害賠償から引いてはいけないということです。
また、もしすでに払われた遺族年金の金額が損害賠償の金額よりも大きかったとしても、その差額は他の請求(例えば慰謝料請求)から引いてはいけないことにもなっています。

これとは全く違う話ですが、国の年金制度は、同時に2つの年金をもらえないような仕組みになっています。例えば、この交通事故との被害者で筋所が遺族基礎年金をもらえたとしても父親の遺族基礎年金と母親の遺族基礎年金のどちらか一つです。両親が亡くなったのだから両方からの遺族年金をもらっても良さそうですが、そうはなっていません。

ただし例外もあって、遺族厚生年金と、老齢基礎年金は両方もらえますし、老齢厚生年金と障害基礎年金も同時に2つもらえることになっています。

ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。

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