5年有期年金の遺族厚生年金
配偶者(通常は妻のケースが圧倒的多数なので以下妻と書きます。)がもらう遺族厚生年金は、原則的には、妻が再婚しない限り、生涯もらえるものです。ただし、例外があります。
まず妻が、60歳~65歳の期間にもらえる自分の老齢厚生年金を選択すると、遺族厚生年金は止まります。つまりこの5年間は遺族厚生年金か、自分の老齢厚生年金かどちらか一方しかもらえません。
次は妻が65歳になったときには、まず自分の老齢厚生年金が出て、遺族厚生年金がその金額を上回れば、その差額が遺族厚生年金としてもらえます。
そして次の例外が今回ご説明する、平成19年4月に新設された5年の有期年金の遺族厚生年金です。
これは、夫が亡くなったときに、妻が、30歳未満で、なおかつ、お子さんがいないときには、妻がもらえる遺族厚生年金は5年間で打ち切りとなるというものです。
なぜこのような、改悪ともとれる制度変更をしたのかということについて、日本年金機構のホームページのQ&Aに以下のように記載しています。
”これまで、子のいない若齢期の遺族配偶者である女性は、死亡した場合や婚姻した場合のほかは、就労状況にかかわらず遺族厚生年金を生涯受けることができることになっていました。
今回の改正においては、子のいない一定年齢以下の妻に対する遺族厚生年金について、その就労の可能性を考慮しつつ、自身の就労を準備するまでの激変緩和措置と位置づけ、有期支払いとする等の見直しが行われました。”
まあ、要するに、「働きなさい」ということのようですが、子のある妻や30歳以降に夫が亡くなった妻に出る遺族厚生年金をもらいながら働いても、年金が減らされるとか、止められてしまうということはありません。
ところで、夫が亡くなったときには妻のお腹にいたお子さんが生まれたときはどのようになるのでしょうか。これは、生まれたときに、遺族年金の受給権が発生し、生まれたときから遺族年金がもらえるようになります。
2011年3月5日 12:11 PM | カテゴリー:遺族年金の基礎知識