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再審査請求に行くか裁判に行くか迷います


年金が不支給との通知が来て、審査請求をしたけれど、その決定書で請求棄却となった場合に、その次をどうするかという問題があります。そのままにしておくと不支給が確定してしまうからです。

平成28年4月1日以降は、法律の改正により、2つの選択肢ができました。一つは、従来どおり社会保険審査会に対して、再審査請求(2回目の不服申し立て)をするという方法と、もうひとつは、再審査請求しないで、国を相手に裁判を起こす方法です。

私の経験ですが、年金に限って言えば、再審査請求した場合に、その結果(裁決)が出るまでには、半年から1年近くかかってしまいますので、年金を請求したときから見れば、2~3年もかかってしまう場合が多いのです。今までは、再審査請求でも認められなかった場合に、やっと裁判に訴えるということができたわけなのですが、国民の裁判を受ける権利の保護という観点から、行政不服審査法という法律が50年ぶりに改正されて、より早く裁判に持ち込めるようになったのです。

でも実際にそのような状況になったときに、裁判を起こすか、再審査請求するか、迷いますね?
どちらがより勝てる見込みが高いかによって選択することになるのだと思いますが、提訴するにしても、行政相手に、楽に勝てる裁判があるはずもなく、まずは代理人を引き受けてくれる弁護士さんを探すことから始めなくてはなりません。

私にも妙案があるわけではなく(申し訳ありません)、ケースバイケースで判断していくしかないのだろうと思ってはいますが、興味深い統計データがありますのでご紹介します。2つのうちどちらを選ぶかというときの参考資料の一つになれば幸いです。

これは厚生労働省が、ホームページ上で公開している、社会保険審査会が取り扱った(再)審査請求がどのような結果になっているかを年度別に一覧表にしたものです。その中に「取下」の件数という数字があって、とても重要なことを示していると思います。

(再)となっているのは、審査請求と再審査請求の両方を指しています。社会保険審査会にいきなり審査請求できるケースもあるからです。

「取下」とは、請求人側から(再)審査請求を取り下げたということです。この件数の中には、再審査請求をしたけれど、「請求を認めてくれたから、再審査請求を取り下げます」というものが含まれています。たとえば、平成26年度は、社会保険審査会は、約2,003件の(再)審査請求の処理をしましたが、そのうち233件は「請求が認められたので取り下げます」という結果の数字です。

請求の中には、年金不支給の取り消し請求のほかに、障害年金等級の見直し請求、健康保険給付に対する請求などが含まれますから、必ずしも233件全部が不支給の取り消し請求だったわけではありません。それにしても、処理件数のうち11.6%が請求を認められたわけです。

なぜそのようなことが言えるかというと、この表の脚注に、「社会保険審査会の審査にあたって保険者が再検討を行った結果、原処分の変更が行われ、(再)審査請求が取り下げられた件数。」と書かれているからです。
これを遺族年金の請求ではどのような状況となるのか分解してみると、下のようになります。
1. 遺族年金の請求をしたが不支給の通知が来た。
2. 審査請求(1回目の不服申し立て)をしたが、請求棄却となった。
3. 社会保険審査会に再審査請求をした。
4. これを受けて、保険者(年金なので厚生労働省)がもう一度よく調べた結果、遺族年金が出ることになった。
5. 請求人側から、もう再審査請求を進める必要がないから、取り下げますと言った。

この取り下げ件数とは別に、社会保険審査会で再審査請求が審理された1,744件のうち、請求が認められた件数が219件もありましたから、H26年度は合計で452件(20%)の請求が認められたことになります。

なお、年金関係では、従来どおり、処分または裁決があった(再審査請求が棄却された)ことを知った日から6ヵ月以内であれば、国を相手に裁判を起こすこともできます。

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