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遺族年金が出なかった事例-1

このコラムは、株式会社法研発行の「週刊社会保障」平成25年9月2日号に掲載された私の記事を転載したものです。

Q 3年前、夫が亡くなった。私は、自分名義の土地で不動産業を営んでいたので、当時の所得は700万円だった。

私は、10年来入退院を繰り返し、経営は夫が行っていた。夫の死亡後収入は激減した。遺族厚生年金はもらえないのか。

A 生計維持関係の認定基準

遺族厚生年金を受給するには、この基準を満たす必要があるが、その一つに、収入要件がある。詳細は、通知(年発0323第1号 平成23.3.23)「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて」に規定されている。上記事例では、『定年退職等の事情により近い将来(おおむね5年以内)収入が850万円未満または所得が年額655.5万円未満となることが認められること』に該当することが求められる。

(1)相談を受けた経緯

夫が急逝したことや本人の病気治療が身体に大きな負荷かけるものだったことなどから、年金関係は、死亡届をやっとのことで出しただけで、遺族厚生年金の申請までとても手が回らなかったという。夫の死後3年経って、体調もいくらか良くなり、遺族年金を申請しようと社会保険事務所(当時)までタクシーで行ったが、3時間待たされ、受けた説明がさっぱりわからないということで、私に相談があった。

話を伺った時点で、アパート経営による所得が基準を超えている状態では受給の可能性はかなり低いだろうとの結論に至ったが、ご本人の希望もあり、上記認定要件に相当する事実を主張し、年金の支給を求めることとした。

(2)夫の死亡当時、夫の死亡により年収が下がることが確実であったとの主張

①     不動産経営は、専門業者に外注する方法もあるが、この夫婦は、良質なアパート経営には、賃借人や近隣の住民とのコミュニケーションが大切と考え、入居希望者の面接から、雑草取りまで、夫が片道2時間かけて出かけて行っていた。夫が急死してしまったので、その後の対応もできないまま、退室者が相次ぎ、死後3年目の今年から入居者がゼロの状態となっていたことを申し立てた。(夫の死亡前後の比較のために写真も提出した。)また、夫の死亡前後の家賃収入と入居者数の推移等の資料も提出した。

②     妻が、夫の死後、アパート経営ができなかったことの証明として、夫の死亡前から以降について、主治医の診断書、入院証明書等を提出した。これは、年収が下がってから申請したのではないことを証明するためでもあった。

③     取引先の不動産業者に、もっぱら夫がアパート経営に従事していたことの申立書を作成してもらい提出した。

(3)請求の結果は不支給となった

審査・再審査請求を経ても、処分は覆らなかった。社会保険審査会による裁決書では、「夫の死後は、請求人(妻)が自らアパート経営をしなければならないものとは認められず、専門業者等に外注すれば、営業を継続できたことを考えれば、夫の死亡当時、所得が基準を下回ることが客観的に予見されていたとまでは認められない。」とされた。本件は、認定要件を満たさないことによる不支給が確定した。

 

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