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社労士が代理人を受任できる行政不服審査

 年金の不支給決定に対しては、行政に対して、もっと年金申請の内容を詳細に審査してほしいという要求を、審査請求と再審査請求という救済措置を使ってすることができます。

 ただ、年金の請求をした本人が、3ヵ月以内という短期間のうちに不服申立書を書いて、審査請求をしなければなりません。再審査請求に至っては60日以内とさらに期間が短くなっています。不服申立を受け取って審査するのは審査官や社会保険審査会の委員であり、法律の専門家ばかりです。彼らを納得させ、一度は不支給や不認定となった案件をひっくり返させるわけですから、申し立てる側にも法律の知識がなければなりません。そのようなことが困難な場合には、専門家に支援を求めた方が良い場合があります。

 このとき、社会保険労務士であれば、ご本人の代理人となって、行政不服申立手続きを行うことができるのです。私はこのホームページを通じてたくさんの方からご相談やご依頼をいただいてこの代理人業務を承ってきました。どのケースも精一杯やりました。ひっくり返せたこともありますし、力足らずひっくり返せなかったケースもあります。

 前置きが長くなりましたが、社労士会が発行している機関誌「月刊社労士」の2014年7月号で、この代理人業務について記事が載りました。その記事では、社労士会連合会(日本全国の社労士をとりまとめている組織)が、代理権を与えられている社労士の責任として、行政処分に対して泣き寝入りしないで済むように、その期待に応えていかなくてはならないということと、代理人業務への積極的な取り組みを求めています。私もそのとおりだと思います。

 年金不支給に限らず、労災も含む社会保障給付に対する不支給や不認定に対しては、社労士が代理人業務ができることの根拠をお示しできるものとして、少し長いですが、その記事をここに載せます。

なお、ご不明な点がありましたらお知らせください。

行政不服審査法と社労士の事務代理業務

 社労士が行う独占的業務の一つに、労働社会保険諸法令に基づく申請等に係る「審査請求及び再審査請求」(以下「審査請求」という)における代理人としての事務代理業務があります(社労士法第2条第1項第1号の3)。

 行政不服審査は、行政庁の違法又は不当な処分によって不利益を受けた国民が、権利利益の救済を求め不服を申し立て、これを行政庁が簡易迅速に審査する手続きについて定めている制度です。労働社会保険諸法令関係、「社会保険審査官及び審査会法」並びに「労働保険審査官及び審査会法」だけでなく、「行政不服審査法」の規定に基づいてなされる審査請求も含まれています。

 例えば、行政不服審査法について言えば、労働社会保険諸法令に係る規定に基づき行政機関等(※1)が行った処分に対して、本人(使用者、労働者、事業主、被保険者)がその処分を受け入れ難い場合の不服申し立ての手続きは審査請求によって行うことになります。この場合、本人は、労働社会保険諸法令の唯一の国家資格者である専門家の社労士に代理人として当該手続きを依頼することができるのです。一方、依頼された社労士は「委任状」によって事務代理の権限を引き受け、審査等の過程で行われる調査、審議等において主張・陳述・答弁等を代理人たる社労士の名義で独立して行うことになるのです。これが社労士の事務代理業務です。

 なお、最近の行政不服審査の実態を見てみると、平成25年8月総務省発表資料「平成23年度における行政不服審査法等の施行状況に関する調査結果(国における状況)」によれば、健康保険法、船員保険法、厚生年金保険法及び国民年金法に基づく「社会保険関係」、「労働者災害補償保険法関係」については、各府省等に審査請求された件数が1万7,358件で、そのうち、社会保険関係が9,306件(53.6%)と最も多く、また労働者災害補償保険法関係では1,861件(10.7%)で、国税通則法の4,246件(24.5%)に次いで、3番目に多い結果となっています。

 また、再審査請求では、各府省等に再審査請求された件数は2,927件で、そのうち、社会保険関係が2,084件(71.2%)と最も多く、次いで、労働者火災補償保険法関係が628件(21.5%)の順になっています。

 このような統計結果をみると労働社会保険諸法令関連の事案が圧倒的に多く占めていることが分かります。つまり社労士にとっても審査請求の事務代理業務を行う機会が増えてきているのではないでしょうか。

 ところで、行政不服審査法が平成26年通常国会(第186国会)において一部改正されました。この改正法は平成28年4月1日から施行されます。これによって、これまでの「不服申立前置(二重前置)」についての見直しが行われ、社会保険審査官の裁決後は、必ずしも再審査請求の手続を経ることなく、地方裁判所へ「現処分の取消し訴訟」を提起することもできることとなったのです(※2)

 社労士は統計結果等の状況をしっかり把握して、事業主、被保険者等が行政機関等の処分に対して泣き寝入りしないで済むようにその期待に応えていかなくてはならないのです。

そのためにも、審査請求の事務代理業務をテーマとした研修に参加するなど、日々の業務において研鑚を積み、常に依頼に応えられるように日頃より実務能力と職業倫理などの資質向上を図っておくことが必要ではないでしょうか。

 

※1 「行政機関等」とは、都道府県労働局、労働基準監督署、公共職業安定所(ハローワーク)、都道府県、市町村区、日本年金機構(年金事務所)、全国保険協会(協会けんぽ)、健康保険組合、年金基金等をいいます。

※2 訴訟代理人は弁護士に限られていますが、社労士が補佐人として出廷陳述できることについては、第8次社労士法改正が成立したことにより認められています。審査請求や再審査請求までご依頼人と一緒に進めてきていますから、事案の内容も法律的な争点もよくわかっているので訴訟代理人の弁護士と共同歩調を取って裁判を進めることができます。

 

 

 

 

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